私はグラフィックデザイナーとして約10年、都内で経験を積み、その後8年くらいWeb制作にかかわってきました。
そして、デザイナーとしてやってきて感じたこと、これからデザインをするにあたり必要なことを今、デザインに興味をもっている君に、これまでの私の経験からデザインのことについて簡単にお伝えできたらと思います。
あくまでも私の経験値でのことなので、参考までに読んでくれたらと思います。
デザインとはなにか
「デザイン」と聞くと、絵を書いたり、ポスターやロゴマークを作ったりするイメージがあるかと思います。
私も最初はそのように思って、かっこいいポスターを作りたい!とか、かっこいいビジュアルを作りたいとか、人に「あっ!」と思わせる何かを作りたい!と興味をもってデザイン業界の門をたたきました。
私は27歳のときにデザイン会社へ転職したのですが、入社当時は「かっこいいデザインを作って賞を獲るぞ!」と意気込んでました。(笑)
しかし、そんな思いはすぐ崩されたのを今でもはっきり覚えています。。。(泣)
では、「デザイン」とは何でしょう??
ウィキペディアで調べてみると、
デザインはヒトを中心とした目的設定・計画策定・実現化からなる一連のプロセスである。すなわち人・ユーザー・社会にとって価値ある目的を見出し、それを実現するモノゴトを計画し、形にする、一連の創造的行為をデザインという。
ーウィキペディアー
「常にヒトを中心に考え、目的を見出し、その目的を達成する計画を行い実現化する。」この一連のプロセス
ー日本デザイン振興会ー
It’s not just what it looks like and feels like. Design is how it works.
見た目や感触だけではありません。デザインはそれがどのように機能するかです。
ースティーブ・ジョブスー
などと記載されていますね。
この内容からもわかるように、デザインはただかっこいいビジュアルの制作物をつくるということではないことがわかります。
当時の私はデザインの勉強は美術系の学校で学んでいたわけではなく、ほぼ独学で、思い込みでやっていたので、「デザインとは何か」を考えてこの答えに達したとき、とても感激しました。
なにも考えずにただ「賞をとりたい」と思っていたデザインに対する私の考えはなくなりました。
目標としてなにかしらの賞を獲るというものはあってもいいと思いますが、賞を獲ることを目的としたデザインではただの自己満足でしかないということですね。
デザイン制作をするのに別に賞を獲るなんて必要はありません。←賞を獲ったことがないただの負け惜しみ。。。(泣)
それよりも大事なのは、「目的にあった設計」でそのデザインによって「何を伝えるか」だと思います。
デザイナーに必要なこと
それは、「観察力」だと思います。
デザインといってもファッションやプロダクト、建築などいろいろなデザインがありますが、これは全てのデザインで言えることではないかと思います。
デザインは人のためにあるものです。
「そのデザインを通してなにを得るか」がとても大切だと思います。
「目的にあった設計」なしにデザインはできません。
すべては人のためにデザインをするとなれば、必然的に「人の観察」をすることになります。
どんなふうに使うのか、いつ使うのか、どこで使うのか、なんのために使うのか、、、ということを考えていくことが大切です。
この設計をしていくのがデザイナーという職の大きな役割であり、醍醐味であると思います。
他には、コミュニケーション能力やデザイン力、イラストレーター、フォトショップなどの制作アプリを使いこなせるか、とかありますが一番大事なのは「観察力」だと私は考えます。
デザインの勉強方法
デザインをする上で役にたったことを教えたいと思います。
<デッサン>
美術系の学校にいくとたいていデッサンを学ぶと思います。これは「観察力」を鍛えるのにとても有効だと思います。
私はデッサンを学ぼうと思ったことはありますが、実際に学んではいません。しかし、自分でスケッチブックを買って、雑誌にとかにある写真を模写したことはあります。
うまく描こうと思うと、とても細かいところまでよく観察する必要があります。影の濃さや線の太さ、物の形などなど。
デッサンをやってみて、うまく絵を描くことはいまだにできませんが、観察ってどういうこと??というのはなんとなく理解できた気がします。
<読書>
これは小説などの物語です。
小説は自分の体験のできないことを物語の中で体験させてくれます。また、文章を読みながらそのシーンを想像させてくれます。
「体験」は感性を磨くのにとても役立ちます。自分一人の体験には限度がありますが、物語の中でいろいろなシチュエーションを見たり、いろいろな人物の視点で書かれていたりするので、普段の生活の中でこういう体験はなかなかできません。
「シーンを想像」はビジュアルを作るときや撮影をするときにとても役立ちます。感動するシーンはどんなビジュアルか、印象的にするにはどうしたらいいかを想像することで想像力がつくと思います。
小説を読むのは私自身、上京したとき電車通勤になるので暇つぶしに読もうと思ったのがきっかけでした。それまでは国語が大嫌いで文章を読むと眠くなる体質でした。
都内に住んでいる人ならばわかると思いますが、通勤時、満員電車のなかで、よく揺れる車内で小説を読むことはとても難しいことがわかってから、スタバなどで読むようになりました。毎朝、出勤前の30分、スタバによってコーヒーを飲みながら本を読む自分がちょっとかっこいいなんて思いながら読んでました。気がつけば、都内にいる10年間ずっと続けていました。
文章を読むことで、文章の構成や伝え方がわかるようになり、結果的に大きな学びになりました。
<映画>
これはかっこいいビジュアル、感動するビジュアルを映画からシーンとしてみることです。
映画には物語があります。物語があるからこそ、シーンをビジュアルで表現しより目に焼き付け、印象に残す効果があります。
同じシーンでも物語の前後によってそのシーンのイメージが大きく変わることもあります。デザインで伝えたいこと、感じてもらいたいことを物語のシーンとして捉え、考えていくことがとても重要だと思うので映画をみて学ぶことはとても有効だと感じました。
<ビジネス書>
これは小説を読むことにも共通する部分もありますが、それとは別にデザインを独学で学ぶということです。
私がデザインを学ぼうと思ったとき、まだ今みたいにインターネットのブログなどでデザインに関する記事があまりなかったですし、またはインターネットで学ぶなんて習慣がありませんでした。
そのため、私は本屋によく行ってデザインに関する本をよく買って読んでいました。
いまでこそ、いろいろな記事があり、いろいろなことがインターネットで手軽に学べる時代になったので、インターネットで検索して学ぶのもありでしょう。
本のいいところは、大事なところを直感的に付箋つけたり、マーカーしたりできるところだと思います。自分でお金を出しているので読まなきゃ!という意識にもなります。
まあ、なんと言ってもスタバでコーヒー飲みながら読んでいる自分がかっこよく思えるというのが本音だったかもしれません(笑)
インターネットで同じようなことをするとしたら、文をコピーしてメモるとかでしょうか。私はこれは文を読むのにちょっと手間だなと感じたので本を読んでいます。
最近ではAmazonリーディングみたいなサブスクで本を読むこともでき、マーキングや付箋も貼れるのでこういうサービスを使うのもありですね。
本を読みながら、自分でマーキングしたところをエバーノートのようなアプリでまとめると、気になった箇所をまとめることができるのでおすすめです。
最後に…
デザイナーに求められる能力は10年前、20年前と比べて大きく変わってきました。
昔はかっこいいチラシを作りますよー、ポスター、パンフレット作りますよー、っていうのが仕事だったと思います。
しかし、今はデザインソフトも手軽に使え、デザイン素材、写真素材もインターネットで手軽に利用できるような時代で、誰もが簡単にそれなりのデザイン制作をすることができます。
プロとしてやっていきたいと思うのであれば、チラシ作れます、パンフレット作れます、というだけではやっていけません。
なぜ、作るのか、誰のためにつくるのか、そのデザインによってなにを伝えるのか、そのような効果を得るのかを考えていくことが重要となります。
この記事がこれからデザインを始める君に少しでも役に立てばと思います。