デザインの仕事をしていて、「どんなデザインがいいか希望はありますか?」とクライアント様にヒアリングするとよくある返答が、
かっこいい感じで。
おしゃれな感じで。
にぎやかな感じで。
信頼がある感じで。
なんかいい感じで。
などです。
デザイン経験者からすると、
「・・・で、どんな感じ?」
となることがよくあります。
そもそも、「かっこいいデザイン」って何でしょう??
かっこいいデザインって??
さて、かっこいいデザインって何だと思いますか?
これは私がデザイナーの駆け出しのときに最初に疑問に感じたことです。
私はデザイナーとして働きだしたときに、「よし、かっこいいデザインをつくってやるぞ!」と意気込んでました。
そして、いろんなデザインをみて参考にし、自分が作れる今一番のデザインをして自信満々にディレクターに見せたところ、
「全然ダメっ!やり直しっ!」
と、一喝。
ものすごくへこんでとても落ち込みました。
まだデザイナーになりたてのことだったので、なにがダメなのかもわからず、このころは「デザインとはビジュアルを作ること」と思っていたので、ただただ「ビジュアルがダメ」なんだろうと思い、ひたすら違う雰囲気のビジュアルをつくっていました。
アートディレクターになにがダメなのか聞いてみましたが、
余白の使い方がダメ!
バランスがダメ!
色の使い方がダメ!
レイアウトがダメ!
雰囲気がダメ!
そもそもデザインの基本ができていないときでもありましたので、余白、レイアウト、ジャンプ率などバランスがどうこうと言われても意味がさっぱりわからなかったです。(泣)
そんなときに私が新米デザイナーの頃に手にとった本に、
広告表現とは、「広告主の伝えたい情報を受け手である人々にできるだけわかりやすく表現し、理解してもらうこと。さらに、喜んで受けとってもらうようにアイデアで工夫し共感してもらうこと」
アートディレクター入門 ー広告を魅せる人たちがいるー
と書いてあってまさに「目からうろこ」でした。
グラフィックデザイナーがデザインを作るとき、決められた紙面サイズに素材として写真とコピー(テキスト)をレイアウトしていきますが、アートディレクターが意図していること、クライアントが意図していることを理解していないと「紙面上のビジュアルは作れない」ということを感じました。
カメラマンが撮影した写真やライターが考えたコピーにはアートディレクターが、クライアントが伝えたいことが表現されていて、これをわかりやすく表現し、理解してもらえるようにレイアウトしていくことが大事なのです。
一言でいうと、
「世界観を仕上げる」
というふうに私は感じています。
ヒアリングがとても重要
アートディレクターとしてクライアント様にデザインの希望をヒアリングすると、
かっこいい感じで。
おしゃれな感じで。
にぎやかな感じで。
信頼がある感じで。
なんかいい感じで。
と言われることがよくあります。
これはヒアリングの仕方・内容がダメなためによくある返答なのですが、クライアント様はデザインについては素人なので、どんなデザインがいいかなんとなく頭の中にイメージは合っても、それを具体的に伝えることは難しいのです。
そこでアートディレクターのヒアリング力がとても重要となります。
クライアント様と直接お話しているので、クライアント様の意向を一番理解しています。
また、デザイナーに、カメラマンに、コピーライターに伝えるために一番理解していないといけません。
まれに十分なヒアリングができていないために、上記のような返答があるときがあります。
そうするとディレクターの希望するイメージのみでデザインをすることになり、クライアント様の希望に叶っていないデザインをひたすら作り続けることになるので注意が必要です。
世界観のあるかっこいいデザインを。
かっこいい、おしゃれ、にぎやか、信頼感・・・
決められた紙面サイズで、ひと目見て、いいと思ってもらう必要があります。
このようないいデザインには「世界観」があると私は思います。
この「世界観」をどうやってつくるか、、、それはクライアント様の考えている「らしさ」が表現されていることだと思います。
この「らしさ」がないと、撮影やコピーライティングによる表現ができず、グラフィックデザインにも影響してきます。
デザインとは「伝えること」だと思いますが、ただ伝えるだけで良いのであれば、文章(文字)だけでもよいのです。
これをビジュアルとしてデザインし表現することで、そのデザインを見せたい、伝えたい人に喜んでもらったり、共感してもらったりしやすくなります。
たったA4サイズの1ページの紙面をつくるために、アートディレクターがクライント様の意向をよく理解し、カメラマンやコピーライターが紙面に必要な素材を意向に合うように作り、グラフィックデザイナーが世界観を仕上げていきます。
案件によっては必ずしも撮影があったり、コピーライターに依頼することはないと思いますが、伝えたいことを伝えやすくするためにデザイン表現していく工夫が必要になってくると思います。
尊敬するある先輩アートディレクターに教えてもらったことを今でも思い出します。
「どんなに時間をかけてデザインをつくっても、たった3秒で評価される。」
よいデザインはたった3秒で伝わる。
たった3秒で伝わらないデザインはよいデザインではないということになります。
そのデザインを見る人は、見ようと思って見ていないときもあります。
たまたま目に入ったものを手にとり、見てもらい、伝えるというのはとてもむずかしいことです。
実際にデザインを考えていくときには伝えたい人はどんな人か、どんなときにそのデザインを見るのか、そのデザインをみてどうのように行動してほしいのか、などを工夫していく必要があります。
これらのことを考えていきながら「3秒で伝えられる、かっこいいデザイン」を目指してつくっていきましょう!